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減価償却費のあらまし

減価償却の概要

 事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。
 他方、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。
 減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなくその資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。
 この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が財務省令の別表に定められています
 つまり減価償却とは減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です。

少額の減価償却資産

 使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします

例1 使用可能期間が1年未満のもの

 例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、減価償却資産として資産計上し、法定耐用年数2年で減価償却しますが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的です。
 したがって、テレビ放映の期間が1年未満のものは、「使用可能期間が1年未満のもの」に該当します。
 よって、上記のテレビ放映用のコマーシャルフィルムの取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とすることになります。
 使用可能期間が1年未満のものについては、取得価額が10万円以上であってもその取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費となります。

【参考】
法人税法基本通達7-1-12 使用可能期間が1年未満の減価償却資産の範囲
 令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》の使用可能期間が1年未満である減価償却資産とは法人の属する業種(例えば、紡績業、鉄鋼業、建設業等の業種)において種類等を同じくする減価償却資産の使用状況補充状況等を勘案して一般的に消耗性のものとして認識されている減価償却資産でその法人の平均的な使用状況補充状況等からみてその使用可能期間が1年未満であるものをいう。この場合において種類等を同じくする減価償却資産のうちに材質型式性能等が著しく異なるためその使用状況補充状況等も著しく異なるものがあるときは当該材質型式性能等の異なるものごとに判定することができる。(昭49年直法2-71「8」により改正)
(注) 平均的な使用状況補充状況等はおおむね過去3年間の平均値を基準として判定する。

例2 取得価額が10万円未満のもの

 この取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
 例えば、応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。
 また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。
 なお、少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理している場合に、損金の額・必要経費に算入することができます
 したがって、いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金の額・必要経費に算入することはできませんのでご注意ください。
 なお、個人事業主の場合、家事関連費を経費計上するためには、事業分と家事分と明確に分ける必要があります。
 少額の減価償却資産や下記の一括償却資産の特例、少額減価償却資産の特例の取得価額の判定においては、事業割合を乗じる前の取得価額で判定します。

【参考】

所得税法基本通達49-39 少額の減価償却資産又は一括償却資産であるかどうかの判定
 令第138条又は第139条の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常一単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定する。

租税特別措置法28の2-2  取得価額の判定単位
 措置法第28条の2第1項に規定する少額減価償却資産の取得価額が30万円未満であるかどうかについては、通常一単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定する。

(注)使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満であっても、事業の用に供していないものは、損金の額・必要経費に算入することはできませんので、貯蔵品や資産として計上する必要があります

一括償却資産の特例

 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において損期の額・必要経費に算入することができます

少額減価償却資産の特例

 一定の要件を満たす青色申告者(※)が、平成18年4月1日から令和4年3月31日までに取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産(上記(注2)の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額その業務の用に供した年分の損金の額・必要経費に算入できるという特例があります

経理方式に応じた取得価額の判定

 取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。すなわち、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。なお、免税事業者の経理方式は税込経理になります。


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