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中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

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特例の概要

 中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から令和4年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。

適用対象者

 この特例の対象者は、
1.青色申告書を提出する、常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人。(措令5の3⑧)
2.青色申告書を提出する、中小企業者又は農業協同組合等で常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人。(措令27の4⑫)

 中小企業者とは、次に掲げる法人をいいます。
 なお、平成31年4月1日以後に開始する事業年度においては、中小企業者のうち適用除外事業者その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)に該当するものは除かれます

(1)資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人のうち次に掲げる法人以外の法人

イ その発行済株式又は出資(平成31年4月1日以後に開始する事業年度においては、自己の株式又は出資を除きます。以下同じです。)の総数又は総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人

ロ 上記イのほか、その発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人

(注) 大規模法人とは、次に掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
 なお、(3)及び(4)に掲げる法人については、平成31年4月1日以後に開始する事業年度において、大規模法人となります。

(1)資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人

(2)資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人

(3)大法人(次に掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある法人

イ 資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人
ロ 相互会社及び外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
ハ 受託法人

(4) 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を直接又は間接に保有されている法人((3)に掲げる法人を除きます。)
ハ 受託法人

(2) 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人を除きます。)

適用対象資産

 この特例の対象となる資産は、取得価額が30万円未満の減価償却資産(以下「少額減価償却資産」といいます。)です。
 ただし、適用を受ける事業年度・年における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円(事業年度が1年に満たない場合には300万円を12で除し、これにその事業年度の月数を掛けた金額。月数は、暦に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とします。以下同じ。)を超えるときはその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度となります

例:税抜経理方式の法人で、1台28万円(税抜)の資産を12台購入した場合。(この他に少額減価償却資産がない。)
300万円 ÷ 28万円 =10.714…
∴280万円(28万円×10台)が損金の額に算入される。
(注)300万円まで適用できるわけではありません。

適用要件

1.個人
 この制度の適用を受けるためには、確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが必要とされています。
 ただし、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に次の事項を記載して確定申告書に添付して提出し、かつ、当該少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管することにより適用を受けることができます。
① 少額減価償却資産の取得価額の合計額
② 少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨
③ 少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨

2.法人
 この特例を受けるためには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表十六(七))を添付して申告することが必要です。

その他注意事項

(1)この特例の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳と重複適用はできません
 また、取得価額が10万円未満のもの又は一括償却資産の損金算入制度の適用を受けるものについてもこの特例の適用はありません

(2)この特例は、取得価額が30万円未満である減価償却資産について適用がありますので、器具及び備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア特許権商標権等の無形減価償却資産も対象となり、また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となります。


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