令和8年分 路線価が5年連続上昇 ― あなたの相続税はどう変わる?

賃貸不動産オーナー・経営者は要注意
相続税の「土地建物の値段の測り方」が
令和9年から変わります

2026年(令和8年)7月1日、国税庁から「令和8年分の路線価」が発表されました。土地の値段の目安となる路線価は、全国平均で2.9%上がり、5年連続の上昇となりました。

それに加えて、財務省が公表した「令和8年度税制改正の大綱」では、賃貸用の不動産(アパート・マンションなど)を使った相続税対策に、新しいルールが導入されることが決まりました。今回はこの2つの動きを解説します。

この記事の3つのポイント

① 亡くなる前5年以内に買った賃貸不動産は、相続税の計算で「お得な値段」が使いにくくなります

② 新ルールは令和9年(2027年)1月1日以後の相続・贈与から適用されます

③ 土地の値段(路線価)自体も5年連続で上がっており、何もしなくても相続税評価額は上がっていく傾向です

目次

そもそも、何が問題になっていたの?

賃貸用の不動産(人に貸しているアパートや駐車場付きの土地など)は、実際に売買される値段(市場価格)よりも、相続税を計算するときの値段(相続税評価額)の方が低くなるという特徴があります。

そのため、「亡くなる直前に借金をしてアパートを買い、相続税評価額を大きく下げる」という対策が広く使われてきました。国はこれを「行き過ぎた節税」と捉え、税負担の公平性を保つために見直しを行うことにしました。

【図解】市場価格と相続税評価額のイメージ差

実際の売買価格(市場価格)

100(例:1億円)

これまでの相続税評価額(目安)

55〜65程度

令和9年以降・新ルール適用後の評価額(目安)

80程度

※上記の「55〜65」「80」はイメージをつかむための一般的な目安であり、実際の評価額は物件の種類・立地・取得時期などで大きく異なります。正確な数値は個別に税理士へご確認ください。

新ルールの対象になる人・ならない人

ケース 新ルールの対象か
亡くなる(贈与する)5年以内に、お金を払って買った・新築した賃貸不動産 対象になる
不動産小口化商品(不動産特定共同事業契約や信託受益権)を通じて持っている賃貸不動産 取得時期を問わず対象
5年より前から所有している賃貸不動産 対象外(従来どおり)
自分が住むための自宅 対象外

※改正が通達で正式に定められる日より前から所有している土地に建てた家屋など、一部に経過措置(対象外となる取扱い)が設けられています。

簡単なシミュレーション

たとえば、相続開始の3年前に1億円で購入した賃貸アパートがあったとします(数字はあくまでイメージをつかむための一例です)。

購入価格 1億円
これまでの評価方法での目安評価額 約5,500万〜6,500万円
令和9年以降の新ルールでの目安評価額 約8,000万円

相続税評価額が上がるということは、その分だけ相続税を計算するもとになる財産額も増える、ということです。結果として、これまでよりも節税効果が小さくなります。

会社を経営している方・事業承継を考えている方へ

自社ビルの一部を賃貸に出している場合や、資産管理会社で賃貸不動産を保有している場合も、この見直しの影響を受ける可能性があります。また、非上場の自社株式(取引相場のない株式)の評価方法についても、国税庁が有識者会議を開いて見直しの議論を進めています(2026年4月から継続中)。

あわせて、事業承継税制(非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予)を使うための「特例承継計画」の提出期限は1年6か月延長、個人の事業用資産についての計画提出期限は2年6か月延長されることが決まりました。ただし、実際に株式や事業用資産を引き継ぐ期限そのものが延びたわけではない点に注意が必要です。

今からできる対策

① 保有資産の棚卸しをする

ご自身やご家族が、いつ・いくらで取得した不動産を持っているかを整理し、新ルールの対象になりそうな物件があるかを確認しましょう。

② 路線価の上昇を踏まえて試算し直す

路線価は5年連続で上がっています。以前作った相続税の試算がある方も、最新の路線価をもとに数字を見直すことをおすすめします。

③ 事業承継・株式評価の動きを継続的にチェックする

取引相場のない株式の評価方法は、今まさに国税庁で議論が進んでいる段階です。制度の確定を待たず、早めに顧問税理士と方向性を相談しておくと安心です。

④ 税理士に個別相談する

この記事はあくまで制度の全体像をつかむためのものです。ご自身の状況にあてはめた具体的な評価額や対策は、必ず税理士などの専門家にご相談ください。

ご注意:貸付用不動産の評価見直しは、令和8年度税制改正大綱で示された内容にもとづくもので、具体的な取扱いを定める国税庁の通達(財産評価基本通達の改正)は、本記事作成時点で意見公募(パブリックコメント)を経て最終調整が行われている段階です。今後、細部が変更される可能性がありますので、最新情報は国税庁・財務省の公式サイトでご確認ください。

出典(公式情報)

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