• 大阪市天王寺区で活動する所属税理士 松本裕志が、日々気になること書き記すサイトです。

所得金額調整控除(その2)

年末調整における所得金額調整控除(子ども等)の適用要件の判定時期

 年末調整において、所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとする場合は、その年の最後の給与等の支払をうける日の前日までに、「所得金額調整控除申告書」を給与等の支払者に提出する必要があります。
 この場合、年齢23歳未満の扶養親族を有するかどうかなどの判定は、「所得金額調整控除申告書」を提出する日の現況により判定することとなります。
 なお、その判定の要素となる所得金額については、その申告書を提出する日の現況により見積もったその年の合計所得金額によることとなり、その判定の要素となる年齢についてはその年12月31日(その申告書を提出する時までに死亡した者については、その死亡の時)の現況によることとなります。
(注)確定申告において、所得金額調整控除(子ども等)の適用を受ける場合、年齢23歳未満の扶養親族を有するかどうかなどの判定は、その年12月31日(その居住者がその年の中途において死亡し、又は出国をする場合には、その死亡又は死亡の時)の現況によることとされています。ただし、その判定に係る者がその当時死亡している場合は、その死亡の時の現況によることとされています。

共働き世帯における所得金額調整控除(子ども等)の適用

 同じ世帯に所得者が2人以上いる場合、これらの者の扶養親族に該当する人については、これらの者のうちいずれか一の者の扶養親族にのみ該当するものとみなされるため、いわゆる共働きの世帯の場合、一の扶養親族に係る扶養控除の適用については、夫婦のいずれかで受けることとなります。
 他方、所得金額調整控除(子ども等)の適用については扶養控除と異なりいずれか一の者の扶養親族のみ該当するものとみなされませんので、これらの者はいずれも扶養親族を有することとなります。そのため、いわゆる共働きの世帯で扶養親族に該当する年齢23歳未満の子がいる場合夫婦の双方で所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けることができます

「所得金額調整控除申告書」の提出省略の可否

 年末調整において、所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けるためには、「所得金額調整控除申告書」をその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに給与等の支払者に提出する必要があります。そのため、「給与所得者の扶養控除等申告書」の「控除対象扶養親族」欄等への記載の有無にかかわらず「所得金額調整控除申告書」の提出がなければ所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けることはできません

給与収入が850万円を超えていない場合の「所得金額調整控除申告書」の提出可否

 「所得金額調整控除申告書」は、所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとする旨等を記載するものであるため、給与等の収入金額が850万円を超えるかどうかが明らかではない場合であっても年末調整において所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとするときは「所得金額調整控除申告書」に必要事項を記載し給与等の支払者が提出してください
 なお、その年の年末調整の対象となる給与等の収入金額が850万円を超えなかった場合は、「所得金額調整控除申告書」の提出をしたとしても、年末調整において所得金額調整控除(子ども等)が適用されることはありません。

「所得金額調整控除申告書」の「★特別障害者」欄等の記載省略の可否

 年末調整において、所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けるためには、「所得金額調整控除申告書」を給与等の支払者に提出する必要があるため、「給与所得者の扶養控除等申告書」の記載の有無にかかわらず、その提出について省略することができません。
 しかし、従業員等(本人)、同一生計配偶者又は扶養親族が特別障害者に該当することにより所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとする場合においてその者の特別障害者に該当する事実を「給与所得の扶養控除等申告書」に記載しているときは、「所得金額調整控除申告書」の記載事項のうち「★特別障害者」欄については特別障害者に該当する事実の記載を省略し、「扶養控除等申告書のとおり」と記載して差し支えありません

「所得金額調整控除申告書」における所得金額調整控除の額の記載

 所得金額調整控除の額については、「所得金額調整控除申告書」の記載すべき事項として法令で定められていませんので、「所得金額調整控除申告書」に「所得金額調整控除額」欄は設けられていません。
 そのため、年末調整における所得金額調整控除の額については、従業員等が「所得金額調整控除申告書」を提出する際に計算するのではなく、給与等の支払者が年末調整において計算することとなります。
 具体的には、次の計算式のとおりです。

(計算式)
所得金額調整控除の額=(給与等の収入金額ー850万円)×10%
※最高 15万円

年末調整における所得金額調整控除の額の注意事項

 従業員等が①2か所以上から給与等の支払を受けている場合や②公的年金等の支払を受けている場合については、年末調整の際に給与等の支払者が源泉徴収簿において算出する所得金額調整控除の額と、従業員等が「給与所得者の基礎控除申告書」等で合計所得金額の見積額の計算において給与所得の所得金額を求める際の所得金額調整控除の額とが、異なる場合がありますので、注意する必要があります。
 具体的には、年末調整の際に給与等の支払者が源泉徴収簿において算出する所得金額調整控除の額については従たる給与等を含めずに年末調整の対象となる主たる給与等により計算することとなります。他方、従業員等が「給与所得者の基礎控除申告書」等で合計所得金額の見積額の計算において給与所得の所得金額を求める際の所得金額調整控除の額については、上記①の場合、従たる給与等を含めた本年中の全ての給与等により計算することとなり、上記②の場合、所得金額調整控除(子ども等)と所得金額調整控除(年金等)の両方を考慮して計算することとなります。

年末調整後に扶養親族の異動があった場合の所得金額調整控除(子ども等)の再調整

 年齢16歳未満の扶養親族は扶養控除の対象とはなりませんが、所得金額調整控除(子ども等)においては年齢23歳未満の扶養親族を有することが要件の一つとされているため、年末に子が生まれた場合この要件を満たすことになります。
 年末調整において所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとする場合、年齢23歳未満の扶養親族を有するかどうかなどの判定は、「所得金額調整控除申告書」を提出する日の現況により判定することとなりますが、年末調整後その年12月31日までの間に従業員等に子が生まれ所得金額調整控除(子ども等)の適用要件を満たし年末調整による年税額が減少することとなる場合その年分の源泉徴収票を給与等の支払者が作成するまでにその異動があったことについて従業員等からその異動に関する申出があったときは年末調整の再計算の方法でその減少することとなる税額を還付してもよいこととされています。
 したがって、翌年1月の「給与所得の源泉徴収票」を交付する時まで年末調整の再調整を行うことができます。この場合においても「所得金額調整控除申告書」の提出は必要ですので、ご注意ください。
 なお、年末調整の再調整によらず、従業員等が確定申告をすることによって、その減少することとなる税額の還付を受けることもできます。

年末調整後に扶養親族の判定に誤りがあった場合の所得金額調整控除(子ども等)の再調整

 従業員等の親族が控除対象扶養親族や年齢23歳未満の扶養親族に該当するどうかは原則としてその年12月31日の現況により判定することとされていますが、「給与所得者の扶養控除等申告書」や「所得金額調整控除申告書」はそれより早く提出されるためその提出の日の現況に基づいてある程度その見込みによりその判定を行う必要があります。
 そして、その見積りが結果的にその年12月31日の現況と異なりその従業員等の親族が控除対象扶養親族や年齢23歳未満の扶養親族に該当しなくなった場合は扶養控除や所得金額調整控除(子ども等)は適用されないこととなります。
 この場合、「給与所得者の扶養控除等申告書」については異動事項の申告を受け、また、「所得金額調整控除申告書」についても記載内容の訂正を依頼するなどして、年末調整の再計算を行ってください。
 なお、「所得金額調整控除申告書」について、その従業員等が他の年齢23歳未満の扶養親族を有するなど所得金額調整控除(子ども等)の適用要件を満たしている場合に、当初申告された子以外の要件に該当する者に関する内容に訂正されるのであれば、所得金額調整控除(子ども等)については年末調整の再計算を行う必要はありません。

「所得金額調整控除申告書」に記載すべき事項の電磁的方法による提供について

 「所得金額調整控除申告書」についても「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供に関する特例制度」の適用を受けることができます
 なお、既に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供に関する特例制度」について、所轄税務署長の承認を受けている場合には、新たに承認を受ける必要はありません。

「所得金額調整控除申告書」に記載すべきマイナンバーカード(個人番号)について

 年齢23歳未満の扶養親族又は特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族(以下「要件対象扶養親族等」といいます。)を有する者として年末調整において所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとする場合「所得金額調整控除申告書」にはその要件対象扶養親族等のマイナンバー(個人番号)を記載する必要がありますので、原則としてマイナンバー(個人番号)の記載を省略することはできません
 しかしながら、給与等の支払者が従業員等との間での合意に基づき、従業員等が「所得金額調整控除申告書」の余白に「マイナンバー(個人番号)については給与支払者に提供済みのマイナンバー(個人番号)と相違ない」旨を記載した上で給与等の支払者において既に提供を受けている要件対象扶養親族等のマイナンバー(個人番号)を確認し確認した旨を「所得金額調整控除申告書」に表示するのであれば、「所得金額調整控除申告書」の提出時にその要件対象扶養親族等のマイナンバー(個人番号)を記載しなくても差し支えありません(「給与所得者の配偶者控除等申告書」についても同様です。)
 なお、給与等の支払者において保有しているマイナンバー(個人番号)とマイナンバー(個人番号)の記載が省略された者に係る「所得金額調整控除申告書」については、適切かつ容易に紐付けられるよう管理しておく必要があります。

給与等の支払者が一定の帳簿を備え付けている場合のマイナンバー(個人番号)の記載について

 「所得金額調整控除申告書」においては、要件対象扶養親族等のマイナンバー(個人番号)を記載することとされましたが、「所得金額調整控除申告書」に記載されるべき要件対象扶養親族等のマイナンバー(個人番号)その他の記載事項を記載した帳簿を給与等の支払者が備え付けている場合には、その要件対象扶養親族等のマイナンバー(個人番号)の記載を不要とすることができます

(注)一定の帳簿とは、所得税法第198条第6項に規定する帳簿をいい、給与等の支払者が次の①から⑥までの申告書に記載されるべき本人、控除対象となる配偶者又は扶養親族(年齢16歳未満の者を含みます。)のマイナンバー(個人番号)その他の事項を記載した帳簿(次の①から⑥までの申告書の提出前に、これらの申告書の提出を受けて作成された帳簿に限ります。)をいいます。
①給与所得者の扶養控除等申告書
②従たる給与についての扶養控除等申告書
③給与所得者の配偶者控除等申告書
④退職所得の受給に関する申告書
⑤公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
⑥所得金額調整控除申告書


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