新型コロナウイルス感染症の影響により予定していた収入がなくなった又は今後の売上げ減少が見込まれることから役員報酬を減額に踏み切る法人も少なくないと思われます。
法人税の取扱いでは、年度の中途で役員給与を減額した場合、定期同額給与に該当せず、損金算入が認められません。
定期同額給与とは、次に掲げる給与をいいます。
1.その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの(法人税法第34条第一項第一号)
2.定期給与で、次に掲げる改定がされた場合において、当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
(1)当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にあっては、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定
(2)当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定((1)に掲げる改定を除きます。)
(3)当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限り、(1)及び(2)に掲げる改定を除きます。)
3.継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの
新型コロナウイルス感染症の影響により予定していた収入がなくなった又は今後の売上げ減少が見込まれることから役員報酬を減額した場合、業績悪化改定事由に該当るのでしょうか?
国税庁ホームページ『国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ』によると、下記のような減額は、業績悪化改定事由に該当すると考えられます。
1.新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、イベント等の開催中止の要請があったことで、今後、数カ月先まで開催を予定していた全てのイベントがキャンセルとなり、予定していた収入が無くなり、毎月の家賃や従業員の給与等の支払いも困難な状況であることから、役員給与の減額。
2.新型コロナウイルス感染症の影響により、外国からの入国制限や外出自粛要請が行われたことで、主要な売上先である観光客等が減少しています。そのため、当面の間は、これまでのような売上げが見込めないことから、営業時間の短縮や従業員の出勤調整といった事業活動を縮小する対策を講じています。また、いつになれば、観光客等が元通りに回復するのかの見通しも立っておらず、今後、売上げが更に減少する可能性もあるため、更なる経費削減等の経営改善を図る必要が生じています。一方で、当社の従業員の雇用や給与を維持するため、急激なコストカットも困難であることから、当社の経営判断として、役員給与の減額
新型コロナウイルス感染症の影響により、経営状況が著しく悪化したケースや今後の著しい悪化が不可避な場合は,定期同額給与の減額改定は『業績悪化改定事由』に該当すると考えられます。