下記のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響により、経営状況が著しく悪化したケースや今後の著しい悪化が不可避な場合は,定期同額給与の減額改定は『業績悪化改定事由』に該当すると考えられます。
緊急事態宣言も解除され、新型コロナウイルス感染症の影響により減額した役員報酬をその事業年度中に従来の支給額に戻した場合、定期同額給与に該当するのでしょうか?
新型コロナウイルス感染症の影響により、減額改定をした役員報酬をその事業年度中に従来の支給額に戻す、つまり、増額改定をした場合は、『業績悪化改定事由』には該当しないため、『臨時改定事由』に該当するかがポイントとなる。
『臨時改定事由』は、役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定とされている。
このため、当該増額改定は、定期同額給与には該当しないため、増額改定後の金額のうち、改定前の金額を超える部分の金額が損金不算入となる。
ただし、3月決算法人が、新型コロナウイルス感染症の影響により、4月分から役員報酬を『業績悪化改定事由』により減額し、その後定時株主総会の決議で増額改定した場合は、その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日までにされた定期給与の額の改定(通常改定)であるため、当該増額改定は定期同額給与に該当する。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により、定時株主総会を開催することが困難なことから、役員給与の通常改定が会計期間開始の日から3月経過日等後に行われる場合は、法人税法施行令69条1項1号イに規定する「特別の事情があると認められる場合」に該当し、定期同額給与の通常改定時期の要件を満たすことから、改定後の役員給与の額は定期同額給与に該当することとなります。
参考:国税庁ホームページ 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取り扱いに関するFAQより