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所得税の青色申告制度

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青色申告制度の概要

 日本の所得税は、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告納税制度を採っています。
 1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、また、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。
 ところで、一定の水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取り扱いが受けられる青色申告制度があります。

青色申告制度を受けられる人

青色申告をすることができる人は、不動産所得、事業所得、山林所得のある人です。

青色申告の申請手続

(1)原則
 新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告書承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。

(2)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
 業務を開始した日から2カ月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。

(3)相続により業務を承継し場合
 その年の1月16日以後に業務を承継した場合は、業務を承継した日から2カ月以内に「青色申告承認申請」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
 しかし、青色申告をしていた被相続人の業務を承継した場合は、被相続人の死亡による準確定申告書の提出期限である相続の開始を知った日の翌日から4カ月以内(ただし、その期限が青色申告の承認があったとみなされる日後に到来するときは、その日)までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
 

(4)廃業等により青色申告を取りやめる場合
 事業の廃止などにより青色申告書による所得税の申告を取りやめる場合は、取りやめようとする年の翌年3月15日までに「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。

青色申告者の帳簿書類とその保存

 青色申告の記帳は、年末の貸借対照表と損益計算書を作成することができるよう正規の簿記によることが原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいこととなっています。
 これらの帳簿及び書類などは、原則として7年間保存することとされていますが、書類によっては5年間でよいものもあります。
 5年間の保存でよい書類には、例えば、請求書、見積書、納品書、送り状などがあります。

青色申告の特典

 青色申告の特典のうち主なものについて説明します。
(1)青色申告特別控除
イ 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除することとされています。

(注)令和2年分以後の所得税の申告について、青色申告特別控除の見直しが行われます。
(1) 不動産所得又は事業所得に係る取引を正規の簿記の原則により記帳している方が適用を受けることができる青色申告特別控除の控除額が、65万円から55万円に引き下げられます。
(2) 上記(1)にかかわらず、正規の簿記の原則により記帳している方で、次のいずれかに該当する方については65万円の青色申告特別控除額の適用を受けることができます。
まる1 その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
まる2 その年分の所得税の確定申告書及び青色申告決算書(平均課税の適用を受ける場合については、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」)の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。

ロ 上記イ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得 を通じて最高10万円を控除することとされています。

(2)青色事業専従者給与
 青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
 なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者扶養親族にはなれません

(3)貸倒引当金
 事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものです。ただし、金融業の場合は 3.3%になります(一括評価)。
 なお、貸金のうち、貸倒れその他これに類する一定の事由による損失の見込額については、それぞれの事由に応じた限度額までを、貸倒引当金勘定に繰り入れることができますが(個別評価)、その際必要経費に算入された金額の計算の基礎となった貸金は一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれます。

(4)中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例
 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その業務の用に供した減価償却資産で、その取得価額が30万円未満である少額減価償却資産については、その取得価額に相当する金額を、その方のその業務の用に供した年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます。(措置法28の2)
 ただし、その業務の用に供した年分における少額減価償却資産の取得価格の合計額が300万円を超えるときは、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額を限度とする

(5)純損失の繰越しと繰戻し
  事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
 また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

参考:国税庁ホームページ 青色申告制度(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm


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