基準年利率が長期3.5%に|相続税・贈与税の評価で使う利率をやさしく解説

「基準年利率」が長期3.5%に。相続税・贈与税の評価で使う利率とは?

相続税や贈与税の計算では、「国が毎月決める利率」を使う場面があります。それが基準年利率です。国税庁が令和8年10月20日付で、令和8年分の基準年利率を改正する通達を出しました。この記事では、「何の利率か」「いくつになったか」「何に気をつけるか」を、できるだけやさしく説明します。

まず結論から

・令和8年の長期の基準年利率は、1〜4月分が2.50%、9月分が3.50%と、年初より1.0ポイント高くなっています。
・10〜12月分は、国税庁の表では本日(令和8年10月26日)時点で空欄です。
・使う利率は、相続や贈与があった月(課税時期の属する月)のものです。

目次

1. 基準年利率って何?

財産評価基本通達4-4には、次のように書かれています。

  • 財産の評価で使う年利率は、日本証券業協会が売買参考統計値を公表する利付国債の複利利回りを基に計算した「基準年利率」による(別に定めるものを除く)。
  • 期間で3つに分ける:短期(3年未満)、中期(3年以上7年未満)、長期(7年以上)。
  • 各月ごとに別に定める。

かんたんに言うと、「国債の利回りをもとに、国が毎月決める、評価用のものさし」です。

2. 令和8年分はいくつ?(国税庁の表より)

国税庁の「令和8年分の基準年利率について」は、令和8年5月25日付(課評2-37)で出され、令和8年10月20日付(課評2-70)で最後に改正されています。表の一部を抜き出しました(6〜8月分は省略しています)。

課税時期の月 短期 中期 長期
1〜4月分 1.00% 1.50% 2.50%
5月分 1.00% 2.00% 3.00%
9月分 1.50% 2.00% 3.50%
10〜12月分 表では空欄(令和8年10月26日時点で掲載なし)

通達には「令和8年4月分以降は、定めるたびに通達する」という趣旨の記載があります。10月分以降がいつ載るかは、通達に書かれていません。

長期の利率の動き(図)

1〜4月分2.50%
5月分3.00%
9月分3.50%

棒の長さは利率に比例させた目安です(1%=100px)。

3. どんな場面で使うの?

財産評価基本通達27-3(2)に、使い方の一例があります。定期借地権(期間が決まっている借地権)を設定するとき、地主に預ける「保証金・敷金」について、次の場合には、借りる人に経済的な利益があるものとして計算します。

  • 基準年利率未満の約定利率(約束した利率)で利息が支払われているとき
  • 無利息のとき

計算の算式は通達では画像で示されており、この記事では確認できていません。そのため、算式の中身にはふれません。

また、相続税法9条は、「対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合」には、その利益を贈与(遺言なら遺贈)で取得したものとみなす、と定めています。ただし、この9条と基準年利率がどう結びつくかは、今回の通達や本記事で確認した条文からは読み取れていません。お金の貸し借りなどで利率を決めるときは、個別の事情で判断が変わりますので、ご相談ください。

4. かんたんシミュレーション(説明用)

【仮定】10年後に1,000万円を受け取る約束があるとします。「年2.50%」と「年3.50%」で、いまの価値(現在価値)を計算しました。これは、利率が高いと将来のお金のいまの価値が小さくなる、という一般的な計算の説明です。通達で定める評価額ではありません。

使う利率 10年後の1,000万円の現在価値(概算)
年2.50% 約781万円
年3.50% 約709万円

計算式:1,000万円 ÷ (1+利率)の10乗。差は約72万円です。実際の評価は、通達の定める方法で個別に計算します。

5. 今できる対策

  1. 棚卸し:定期借地の保証金、親族や会社との貸し借りなど、「利率を決めている契約」を一覧にしておく。
  2. 月を意識する:使う利率は、課税時期の属する月のものです。贈与や相続のタイミングによって、使う利率が変わります。
  3. 10月分以降の掲載を待つ:国税庁の通達ページを確認します(当事務所でも確認を続けます)。
  4. 契約の見直しは個別に:利率を変える前に、税務上の取り扱いをご相談ください。

出典(官公庁の公式ページ)

※本記事は令和8年10月26日時点で官公庁の公表内容を確認して作成した一般的な解説で、個別のご事情に対する税務上の判断ではありません。シミュレーションは仮定にもとづく概算です。

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この記事を書いた人

兵庫県宝塚市の税理士。相続税・贈与税申告、不動産の法人化、非上場株式の評価、事業承継を専門とし、不動産オーナーおよび中堅企業のご支援にあたっています。担当者が代わることなく、税理士本人が最初から最後まで対応します。書面添付制度にも対応。

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